日本一周やロングライドとブルホーンハンドルの相性
かれこれ5年くらいブルホーンハンドルをロングライドで使用し、ブレーキレバーやシフターなど色々試行錯誤してきました。今回はそのメリットとパーツの変遷について説明します。
1.何故ブルホーンハンドルなのか?
以前はドロップハンドルも使用していましたが、速さを競わないゆるポタ的な走り方ですとほとんど下ハンを使用することが無く、専らブラケットポジションしか使っていませんでした。
ブラケットポジションですとブレーキレバーの根本を握るしかありませんので、ブレーキがかけにくいという弱点がありました。雨の日の峠下りなどは、ブラケットポジションで下っていると手の握力が無くなり、次の日のライドに支障が出るほどでした。てこの原理から考えるとブレーキレバーは支点から離れたところを握るのが制動力的に最もベストです。
「だったら普通に下ハンを握ればよいのでは?」と思われるかもしれませんが、私は軟弱虚弱体質のヘタレ野郎なので、長時間下ハンを握り続けるのは無理があります。さらに、だいたい峠の下りというのは絶景が広がりますが、そんな時に下ハンを持って下を向きながらひたすら走るのはもったいないなという気持ちもあります。
最近ではこの問題の解決策として油圧ディスクブレーキの採用があります。油圧でレバーの引力を増幅して少ない力で強力なブレーキをかけることができます。
原理としては、下記の図のようになります。2つのピストン内部の圧力は一定なので、面積の大きな左のピストンは右のピストンより面積比に応じた大きな力を発揮できます。ブレーキシステムとして考えた場合、油圧というのは非常に素晴らしいシステムだなと思います。
しかし、油圧ディスクは既存の自転車と互換性が無く、本体ごと買い替えになることや、メンテナンスの難しさ、輪行時のトラブルといった問題があります。
そんなことがあり、ブルホーンハンドルを採用しました。ブルホーンハンドルは通常のポジションでも、ブレーキレバーの先端を持つことができます。ブレーキレバーの支点からの距離はドロップハンドルのブラケットポジションと比較すると約2倍となります。つまり同じ握力でブレーキレバーを握ったとすれば、ブルホーンハンドルのほうが2倍の制動力を得られるはずです。
ブルホーンハンドルにしたことで1000m級の下りでも握力が無くなることは一切なくなり、絶景を楽しみながら下ることができるようになりました。
以上まとめると、ブルホーンハンドルはアップライドなポジションでありながら、少ない力で強力なブレーキをかけることができます。
そんな理由もあり、現在はロングライドでもブルホーンハンドルで運用中です。
現在使用している自転車は写真の2台です。どちらもブルホーンハンドルで運用中です。
ブルホーンハンドルを使用したきっかけは、5年前にクロスバイクで日本一周をするために改造したのが始まりでした。残念なことに1年前に盗まれてしまいました。
2.ブルホーンハンドルのシフター/ブレーキレバー変遷
ここからは、これまでに試したブルホーンハンドルの部品構成に関する説明です。ブルホーンハンドルを採用するうえで一番懸念されるのがシフターです。基本的にブルホーンハンドル専用品というものが無く、ロードバイク用や、MTB用の部品をうまいこと流用する必要があります。
①Vブレーキ用補助レバーRL740+ Vブレーキ+ハンドル先端にバーコン
●評価:
・ブレーキ操作:×
・変速操作:〇
・ワイヤー取り回し:〇
・ロングライド:△
元々Vブレーキにフラットハンドルというオーソドックスなクロスバイクでしたので、Vブレーキを生かそうと考えました。そのため、ブレーキレバーはVブレーキに対応したものということで、テクトロのRL740というブレーキレバーを選択しました。このブレーキレバーはドロップハンドルの補助レバーなので、固定方法はハンドル外径にクランプする方式となります。ハンドル先端にはバーコンを差し込みます。
このブレーキレバーは所詮補助ブレーキということでリターンスプリングのようなものが入っておらず、ブレーキタッチが最悪でした。さらにブレーキレバー自体が短いので、ハンドルの先端以外の場所からレバーを握ることが困難でした。
一方、先端のバーコンは操作性良好でした。ブレーキレバー先端にあるので、運転中も操作しやすい位置にあり、完全手元変速とまではいきませんが、それに近い操作性を確保できました。さらにバーコンだとワイヤーの取り回し性も良好でした。
②オポジットレバー+ カンチブレーキ+ハンドル先端側面にバーコン
●評価:
・ブレーキ操作:◎
・変速操作:〇
・ワイヤー取り回し:×
・ハンドル握りやすさ:×
・ロングライド:×
ブレーキタッチ改善のため専用品のオポジットレバーを採用しました。このレバーはディズナ(DIXNA)のヨークレバーというもので、ブレーキレバーの長さや剛性感が十分にあり、リターンスプリング内蔵されているので、ブレーキ操作は文句なしです。ハンドルの根本を握っていてもブレーキレバーに手が届く上に、ブレーキレバーの先端を握れるので、強力にブレーキをかけることができます。
ハンドルの根本を握っていてもブレーキレバーにアクセスできるのがGOOD。
シフターはバーコンをDIXNAのレバーハンドルマウントでハンドル先端の側面に取り付けました。これにより完全な手元変速ができるようになったのですが、親指だけで操作する必要があることと、バーコンの可動範囲が180°と広いということで、ロングライドでは確実に親指が腱鞘炎になるという残念な結果になりました。街乗りレベルでは問題ありません。
さらに、ハンドル側面にバーコンがあるのでアウターワイヤーが邪魔でハンドルが握りずらいという欠点もあります。
持ちやすさ改善のためにこんな小細工もしましたが、かっこ悪く、肝心の変速操作が犠牲になりました。
③オポジットレバー+ カンチブレーキ+ラピッドファイヤ
●評価:
・ブレーキ操作:◎
・変速操作:△
・ワイヤー取り回し:〇
・ハンドル握りやすさ:〇
・ロングライド:〇
現在使用している組み合わせです。ブレーキレバーはオポジットレバーのままで、シフターをクロスバイクから流用したラピッドファイヤーを取り付けています。ラピッドファイヤーにしたことで、手元変速はできなくなりましたが、ワイヤの取り回しとハンドル握りやすさ、ロングライドでの腱鞘炎が改善しました。
④ギドネットレバー+ キャリパーブレーキ+Wレバー
●評価:
・ブレーキ操作:〇
・変速操作:×
・ワイヤー取り回し:〇
・ハンドル握りやすさ:〇
・ロングライド:未評価
現在通勤用で使用している自転車になります。この自転車はギドネットレバーを取り付けています。ギドネットレバーは通常のフラットハンドルで使用するブレーキレバーをさらに延長したようなブレーキレバーで昔はランドナーに好んで採用されていたレバーです。一時期絶版となっていましたが、数年前にダイヤコンペから復刻版が登場しました。
このレバーは主にハンドル根本しか持たないような街乗りには非常に優秀なレバーです。ブレーキレバー自体の長さが長いので、てこの原理により、少ない握力で強力にブレーキをかけることができます。しかし、ハンドル先端を主に持つ乗り方ですと、ブレーキレバーに手が届かないので使いずらいと感じると思います。
またブレーキレバー自体が昔の設計のままのためか剛性感が現在のレバーと比べると落ちますし、リターンスプリングがないのでブレーキタッチもイマイチと感じるかもしれません。従って、本格的な峠の下りなどでは使いにくいかもしれません。
シフターはWレバーにしてみました。手元変速以外の方法を確認してみたかったからです。実際運用してみると、平地メインの街乗りではまったく問題ありませんでした。平地であればそもそも変速の頻度などたかが知れていますので特に不便だと感じません。ただ無意識のうちに変速の頻度が減少したような気がします。
この仕様でロングライド未経験なので分かりませんが、アップダウンの連続するようなロングライドですと、手元変速できないのが非常に不便で苦痛に感じるのではないかと思います。
最後にまとめると、ブルホーンハンドルは以下の特徴があります。
・ブルホーンハンドルは速さを気にしないのんびりライドやロングライドに最適
・ドロップハンドルのブラケットポジションに対して少ない力でブレーキがかけられる
・組合せるブレーキレバーとシフターは色々あるがどれも一長一短
・ドロップハンドルよりも軽量化でき、部品も安価
・ポジションは下ハンがない分ドロップハンドルより少ない
・ブルホーンハンドルの完成車が無いので自分で組むしかない
かれこれ5年くらいブルホーンハンドルをロングライドで使用し、ブレーキレバーやシフターなど色々試行錯誤してきました。今回はそのメリットとパーツの変遷について説明します。
1.何故ブルホーンハンドルなのか?
以前はドロップハンドルも使用していましたが、速さを競わないゆるポタ的な走り方ですとほとんど下ハンを使用することが無く、専らブラケットポジションしか使っていませんでした。
ブラケットポジションですとブレーキレバーの根本を握るしかありませんので、ブレーキがかけにくいという弱点がありました。雨の日の峠下りなどは、ブラケットポジションで下っていると手の握力が無くなり、次の日のライドに支障が出るほどでした。てこの原理から考えるとブレーキレバーは支点から離れたところを握るのが制動力的に最もベストです。
「だったら普通に下ハンを握ればよいのでは?」と思われるかもしれませんが、私は軟弱虚弱体質のヘタレ野郎なので、長時間下ハンを握り続けるのは無理があります。さらに、だいたい峠の下りというのは絶景が広がりますが、そんな時に下ハンを持って下を向きながらひたすら走るのはもったいないなという気持ちもあります。
最近ではこの問題の解決策として油圧ディスクブレーキの採用があります。油圧でレバーの引力を増幅して少ない力で強力なブレーキをかけることができます。
原理としては、下記の図のようになります。2つのピストン内部の圧力は一定なので、面積の大きな左のピストンは右のピストンより面積比に応じた大きな力を発揮できます。ブレーキシステムとして考えた場合、油圧というのは非常に素晴らしいシステムだなと思います。
しかし、油圧ディスクは既存の自転車と互換性が無く、本体ごと買い替えになることや、メンテナンスの難しさ、輪行時のトラブルといった問題があります。
そんなことがあり、ブルホーンハンドルを採用しました。ブルホーンハンドルは通常のポジションでも、ブレーキレバーの先端を持つことができます。ブレーキレバーの支点からの距離はドロップハンドルのブラケットポジションと比較すると約2倍となります。つまり同じ握力でブレーキレバーを握ったとすれば、ブルホーンハンドルのほうが2倍の制動力を得られるはずです。
ブルホーンハンドルにしたことで1000m級の下りでも握力が無くなることは一切なくなり、絶景を楽しみながら下ることができるようになりました。
以上まとめると、ブルホーンハンドルはアップライドなポジションでありながら、少ない力で強力なブレーキをかけることができます。
そんな理由もあり、現在はロングライドでもブルホーンハンドルで運用中です。
現在使用している自転車は写真の2台です。どちらもブルホーンハンドルで運用中です。
ブルホーンハンドルを使用したきっかけは、5年前にクロスバイクで日本一周をするために改造したのが始まりでした。残念なことに1年前に盗まれてしまいました。
2.ブルホーンハンドルのシフター/ブレーキレバー変遷
ここからは、これまでに試したブルホーンハンドルの部品構成に関する説明です。ブルホーンハンドルを採用するうえで一番懸念されるのがシフターです。基本的にブルホーンハンドル専用品というものが無く、ロードバイク用や、MTB用の部品をうまいこと流用する必要があります。
①Vブレーキ用補助レバーRL740+ Vブレーキ+ハンドル先端にバーコン
●評価:
・ブレーキ操作:×
・変速操作:〇
・ワイヤー取り回し:〇
・ロングライド:△
元々Vブレーキにフラットハンドルというオーソドックスなクロスバイクでしたので、Vブレーキを生かそうと考えました。そのため、ブレーキレバーはVブレーキに対応したものということで、テクトロのRL740というブレーキレバーを選択しました。このブレーキレバーはドロップハンドルの補助レバーなので、固定方法はハンドル外径にクランプする方式となります。ハンドル先端にはバーコンを差し込みます。
このブレーキレバーは所詮補助ブレーキということでリターンスプリングのようなものが入っておらず、ブレーキタッチが最悪でした。さらにブレーキレバー自体が短いので、ハンドルの先端以外の場所からレバーを握ることが困難でした。
一方、先端のバーコンは操作性良好でした。ブレーキレバー先端にあるので、運転中も操作しやすい位置にあり、完全手元変速とまではいきませんが、それに近い操作性を確保できました。さらにバーコンだとワイヤーの取り回し性も良好でした。
②オポジットレバー+ カンチブレーキ+ハンドル先端側面にバーコン
●評価:
・ブレーキ操作:◎
・変速操作:〇
・ワイヤー取り回し:×
・ハンドル握りやすさ:×
・ロングライド:×
ブレーキタッチ改善のため専用品のオポジットレバーを採用しました。このレバーはディズナ(DIXNA)のヨークレバーというもので、ブレーキレバーの長さや剛性感が十分にあり、リターンスプリング内蔵されているので、ブレーキ操作は文句なしです。ハンドルの根本を握っていてもブレーキレバーに手が届く上に、ブレーキレバーの先端を握れるので、強力にブレーキをかけることができます。
ハンドルの根本を握っていてもブレーキレバーにアクセスできるのがGOOD。
シフターはバーコンをDIXNAのレバーハンドルマウントでハンドル先端の側面に取り付けました。これにより完全な手元変速ができるようになったのですが、親指だけで操作する必要があることと、バーコンの可動範囲が180°と広いということで、ロングライドでは確実に親指が腱鞘炎になるという残念な結果になりました。街乗りレベルでは問題ありません。
さらに、ハンドル側面にバーコンがあるのでアウターワイヤーが邪魔でハンドルが握りずらいという欠点もあります。
持ちやすさ改善のためにこんな小細工もしましたが、かっこ悪く、肝心の変速操作が犠牲になりました。
③オポジットレバー+ カンチブレーキ+ラピッドファイヤ
●評価:
・ブレーキ操作:◎
・変速操作:△
・ワイヤー取り回し:〇
・ハンドル握りやすさ:〇
・ロングライド:〇
現在使用している組み合わせです。ブレーキレバーはオポジットレバーのままで、シフターをクロスバイクから流用したラピッドファイヤーを取り付けています。ラピッドファイヤーにしたことで、手元変速はできなくなりましたが、ワイヤの取り回しとハンドル握りやすさ、ロングライドでの腱鞘炎が改善しました。
④ギドネットレバー+ キャリパーブレーキ+Wレバー
●評価:
・ブレーキ操作:〇
・変速操作:×
・ワイヤー取り回し:〇
・ハンドル握りやすさ:〇
・ロングライド:未評価
現在通勤用で使用している自転車になります。この自転車はギドネットレバーを取り付けています。ギドネットレバーは通常のフラットハンドルで使用するブレーキレバーをさらに延長したようなブレーキレバーで昔はランドナーに好んで採用されていたレバーです。一時期絶版となっていましたが、数年前にダイヤコンペから復刻版が登場しました。
このレバーは主にハンドル根本しか持たないような街乗りには非常に優秀なレバーです。ブレーキレバー自体の長さが長いので、てこの原理により、少ない握力で強力にブレーキをかけることができます。しかし、ハンドル先端を主に持つ乗り方ですと、ブレーキレバーに手が届かないので使いずらいと感じると思います。
またブレーキレバー自体が昔の設計のままのためか剛性感が現在のレバーと比べると落ちますし、リターンスプリングがないのでブレーキタッチもイマイチと感じるかもしれません。従って、本格的な峠の下りなどでは使いにくいかもしれません。
シフターはWレバーにしてみました。手元変速以外の方法を確認してみたかったからです。実際運用してみると、平地メインの街乗りではまったく問題ありませんでした。平地であればそもそも変速の頻度などたかが知れていますので特に不便だと感じません。ただ無意識のうちに変速の頻度が減少したような気がします。
この仕様でロングライド未経験なので分かりませんが、アップダウンの連続するようなロングライドですと、手元変速できないのが非常に不便で苦痛に感じるのではないかと思います。
最後にまとめると、ブルホーンハンドルは以下の特徴があります。
・ブルホーンハンドルは速さを気にしないのんびりライドやロングライドに最適
・ドロップハンドルのブラケットポジションに対して少ない力でブレーキがかけられる
・組合せるブレーキレバーとシフターは色々あるがどれも一長一短
・ドロップハンドルよりも軽量化でき、部品も安価
・ポジションは下ハンがない分ドロップハンドルより少ない
・ブルホーンハンドルの完成車が無いので自分で組むしかない
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