JRのダイヤ改正の度に貧乏旅行がしにくい状況になっています。
ふと今度の三月の改正内容を確認すると、コロナの影響なのか地方の線で減便や運行区間短縮が目立ちます。

例えば東北本線ではこれまで福島から仙台まで基本的に直通運転でしたが、今度の改正では白石で分断となってしまうようです。これにより東京から仙台に鈍行で行くには、宇都宮・黒磯・新白河・郡山・福島・白石と6回も乗り換えが必要に。(常磐線経由なら水戸・いわき・原ノ町の3回乗り換えで行けます)

昔は長距離を走る普通列車がたくさんありましたが、今では少数になってしまいました。本数の少ない地方では分断の影響は計り知れません。

また、18きっぱー御用達のムーンライトながらも廃止になるようです。数年前にムーンライト越後やムーンライト信州などは既に廃止されており、いやな予感がしていましたがこれで夜行の快速列車は全滅です。

最近では夜行列車そのものが絶滅の危機に瀕しており、定期列車で運転されているのはサンライズ出雲・瀬戸だけとなってしまいました。つい10数年前までは日本各地で夜行列車が多数運転されていたはずなのですが。貧乏旅がしにくい時代になってしまいました。

夜行列車は時間を有効に使え、自転車も持ち込めるので非常に重宝していました。そして何より旅情を掻き立てるのが最高でした。

夜行列車のなかで特に印象に残っているのが、急行きたぐにです。この列車は新潟から大阪までを走る列車で、急行券1280円で乗れるという破格の列車でした。大阪を朝に出発した列車はちょうど早朝に富山で朝を迎え、車窓には雄大な立山連峰と日本海を望むことができました。今でもこの雄大な車窓は鮮明に残っています。

夜行列車の激減は利用者の減少と言われていますが、単にそれだけではないような気がします。維持管理や人件費などのコストが高いことや会社をまたぐ(JR化の弊害)による影響が大きいのでないかと思われます。

夜行列車専用の車両(しかも昼間は使い道無し)を用意し、さらに夜勤要員を用意しなければならないのに、1列車当たりの収容人数は新幹線の10分の1くらいしかありません。これでは儲けはほとんど出ないと思われます。

ただし近年、夜行列車の復活と称して、ななつ星や四季島、トワイライトエクスプレス瑞風といった高齢の富裕層をターゲットとした高級クルーズトレインなるものが登場していますが、とても若者に手が出せる価格帯ではありませんし、目的地までの移動手段として利用することは想定されておらず、昔の夜行列車の代替になるものではありません。

JRは民間企業なので旅人(貧乏系)のために夜行列車を残してくれとは言えませんが、このまま行くと間違いなく若者は鉄道旅から離れてしまい、将来的にじり貧になるのでないかと思います。現在、鉄道を多く利用するのは比較的高齢な方(若い頃から鉄道に慣れ親しんでいる)が多く、若者ほど高速バスや飛行機を使用する傾向があると思います。

もはや昔のような夜行列車の復活が無理ならせめて夜行の新幹線をぜひ作ってもらいたいです。特に北海道新幹線が全線開業したら絶対欲しいところです。新幹線は深夜の走行ができないので例えば夕方19時に東京を出発した列車は新函館北斗で24時から6時の間は停泊し、7時頃に札幌に到着するというようなダイヤであれば非常に使いやすいと思います。